不登校の増加と学校の対応から

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不登校の増加が止まらない文部科学省の調査によると、2017年度の不登校の小中学生の数は14.4万人に上る。平成25年から少子化の下でも増加に転じ、前年に比べて1万人近く増え、過去最多となった。  実際の数値をあげると、2017年度の不登校の小学生は35,032人(千人あたり5.4人)中学生が108,999人(同32.5人)であった。

不登校といじめとは連動していると言われ、いじめ件数も異常な数値となっているが、今回は置いておく。だが、不登校にせよいじめや体罰にせよ、文科省が全国の教育委員会や学校に協力を求めて実施していた統計データがいかにいい加減であるかが、図らずも2013年9月29日に大阪の市立桜宮高校での生徒の体罰自殺事件をきっかけに明らかになった。それで文部科学省がその報告を洗い直したことが大きい。
 そして、また不登校児童生徒の休み明け前後の自殺の急増を受け、2017年には「教育機会均等法」の施行があり、必ずしも「学校復帰」を働きかけないことの重要性や、フリースクールなど文科省が定める学校以外での学び活動の場の重要性に、学校教育関係者がようやく気付き始めたということもある。

▼そういう中で、教員等の学校教育の関係者が様々な困難に直面しているという。そこで、「教員の研修でうまくいくわけではない」「第三者機関が必要である」「学校で抱え込まないで外部の手を借りるべき」という識者の声も出てくる。
 だが、現場の教員の間から出てくる意見は、おしなべて「学校でなんとかしなければ」いけない。「でないと、保護者に頑張ってもらうしかなくなる」というものだ。だから、「学校で学び合い、組織で対応する枠組みが必要だ」となる。
 相変わらず、こういう認識にとどまっている。そこから、「もっとたくさんの高い専門性をもったスクールカウンセラーを!」という叫びも出てくる。

▼一見、もっともらしく真面目に取り組んでいるようにも見えるが、一体今の学校現場でそれがどれだけ可能なのだろうか?  「不登校の生徒を否定的にとらえない」ということ一つでも実現できるのか?単にカウンセリングの技法を不登校対策として学んだとして、不登校になった児童生徒の真剣な眼差しにどこまで耐えられるのか?真に必要なのは単なる技法ではない。心にもない付け焼刃的な化けの皮はすぐに剥がされてしまうだろう。

▼そこに見られるのは「学校は無謬だ」という架空の神話であり、教員のご都合主義に過ぎない。子どもは自己存在の全てを賭して不登校を選択したというのに。
 不登校となった児童生徒の瞳にどんな風景が映っているか、一度でも児童生徒の目線に立ってあたりを見回したことがあるだろうか?いつも学校側の建前に従順にならない児童生徒を非難がましく、いらだちの気持ちを覚えながら上から目線で接していたのではないか?
 なぜ、年端もいかない児童生徒がその全身全霊をかけて「ノー!」と言うに至ったのか、本気で考えたことがあるだろうか?子どもたちはそれを言葉ではなく肌で感じ取るのだ。
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