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ブログ:「子どもネットから」

 — 子どもの心と命のために — 子どもの学びと育ちと人権と — 

◆最近の教育ニュースから:「50代担任、児童をいじめ」 
◆『不登校バスターズ』結成のお知らせ

「50代担任、児童をいじめ 体かく動作をまねてからかう」:朝日新聞デジタル(2015年6月12日)からの情報である。
福島県郡山市の50代の先生が、児童(小学校高学年)の身体をかく真似をしたり、からかいの言葉をかけたりしていじめていたらしい。昨春から今年3月までというから結構長い。小学校は学級担任がクラス全体を管理し、価値付け、支配する。生徒は学校にいる間、学業や振る舞い、価値評価に至るまで担任が一括管理する「学級王国」の中で過ごさねばならない。特に小学低学年、中学年の子どもは先生に好かれているか否か—-それがその子の学校での命運を左右することにもなる。もし、その子が一年間も尊厳を踏みにじられ、からかいの種にされるような環境の中に置かれていたならば、一体どうなるか。場合によっては、その子は自分に自信を持てなくなるばかりか自己卑下の塊となり、
トラウマ(PTSD)状態になってしまいかねない。場合によっては、その子の将来をも閉ざすことにもなってしまう。

小学校の「学級王国」という特殊な空間は、担任の意図に関わりなくそういう状況になりがちだ。学級担任は余程の注意を払う必要がある。ところが、この50過ぎの担任は、児童を言葉でいじめたり 身体をかく動作をまねてからかうなど、生徒への思いやりや想像力がまったく欠如している。指摘されてから「児童が嫌だと思っていることがわかったので謝罪した」とか「(体のことを)知っていればやらなかった」とか、論外の弁明である。
これでは小学校教師としての最低限の条件をも満たしていない。逆に同級生の女子生徒の方がストレスになり、カウンセリングさえ受ける状態になっていたという。この歳になるまで、この先生はあり得ない教師感覚で生徒に接してきていたのかと思うと空恐ろしい。先生による悪質ないじめが発覚して、これ以上犠牲者が増えなくなって良かった言うべきか。

▼知らない親御さんは、こういう担任のいじめは例外的なもので、あまり大袈裟に考えることではないと思われるかもしれない。実際はどうか。意外なほど多いのである。ただし、今回のように公になることはあまりない。「恥の文化」が悪く作用しているのか。被害者が上司をパワハラで訴えることは日本社会ではあまりないが、学校ではもっと少ないだろう(それに、いじめている側にはいじめているという意識は希薄である)。それを端的に示しているのが私達のようなフリースクールにやってくる「不登校の子ども達の存在」である。

不登校の子ども達がなぜ生まれるのか?「炭鉱のカナリヤ」という言葉がある。炭鉱夫が炭鉱のトンネルに入るときにカナリヤを連れて行く。坑内で異常ガスが発生していても人間はなかなか気付かない。カナリヤが先に死ぬ。それで人は危ないと判断し退避する。不登校となって学校を離れた子ども達は、まさに本能によって危険を察し、学校という場を離れた子ども達なのだ。だから、その不登校の子ども達の背後には必ず「離れざるを得なかった事情」がある。端的に言って、不登校の子ども達はみないじめや暴力の被害者である。だから、「不登校は学校教育のカナリヤである」と言ってよかろう。ひと時、「いじめは増えているけれども、不登校は減っている」と言われたが、真っ赤なウソである。
不登校の陰に必ずいじめがある。各学校で不登校の数を巧妙に操作し、実数をぼかしている。最近のデータで「また不登校が増えた」となっているが、大阪で体罰での自殺者が出てから、文科省が教育委員会等から統計で上がってくるデータを洗い直した結果である。実数が急に増えたわけではない。統計のやり方がちょっと変わっただけである。不登校の実数はその2倍も3倍もあるのではないかとも言われるが、あながち風評ではないのかもしれない。

本来、「子どもが主人公」であるはずの学校で、「ここは自分が生かされる場所ではない」と危険を察し、学校に行けなくなったり行くことを拒否する子ども達が、小学校中学校だけでも全国で12万人を超えている。ピーク時は13万人と言われ多少減ったような印象だが、おそらく実数はほとんど変わりがないのではないか。
私達は、1995年に不登校専門の月刊教育雑誌『ニコラ』を創刊し、以来一貫して不登校問題に関わってきたが(教育行政や大学等で不登校研究が始まったのはそれから後のことである)、教育の内実は本質的に何も変わらず、不登校問題も一向に収束していない。奇妙な形で不登校問題が社会的に認知されるようになったことで、逆に解決困難になったケースも多い。「不登校は解決するものではなく、放置するものになった」きらいさえある。その結果、社会的ひきこもりやニートと言われる人達が異常に増えることになった

▼「不登校を克服し解決するためにはどうしたらいいか?!」— これが再び論じられなければならない。教育行政は学校で教育を受けている子ども達のものであるから、不登校の子ども達のためにはほとんど動かない。最近、文科省でフリースクール等の民間教育団体への実態調査などの動きがあるが、文科省への圧力利権団体である学校外教育業者への便宜を図ったものにしか見えない不登校となって困っている本人やその家庭への直接の恩恵は何もない本人や家庭への学習権や教育権の保証はどこにも明記されていない。「不登校になった本人や家庭への教育バウチャー」一つ実現していない。それなのに、バラバラに分断された不登校本人やその家庭の保護者たちは、ただ泣き寝入りするだけで一向に団結して動こうとはしない。
改めて『不登校バスターズ』が必要ではないか?不登校問題の告発&撲滅隊である。かつて『いじめバスターズ』というのがあった。不登校問題も、真剣に向き合おうとするならば、バラバラに分断されている状態では不可能である。一人でも解決は難しい。
改めて、今まで子どものいる現場から問題を提起してきた「不登校専門の月刊教育雑誌『ニコラ』の活動」と「フリースクールでの子ども支援の実践活動」の統合として、『不登校バスターズ』を結成する。対象は、不登校の子ども達本人とその保護者、不登校専門の支援者、一般の教育関係者、多様な分野の教育問題に関心のある市民などである。
詳細は追ってお知らせしたい。

(続く)

 

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