▼今、公立の中高一貫校が注目の的だが、対する私立校の入試問題「適性検査型入試」が強まっているのだとか。つまり、従来の4教科型の総合力を見る詰め込み型受験エリート向けの入試問題ではなく、思考力、読解力、記述力など考える力を見る入試に変わりつつあるとAERAは言う。
▼「AERA型記述作文」というものがあり、必ずしも額面通りに受け取れないこともあるが、日本の学校教育がかつての良質の規格品を大量に生産する教育工場型人材育成から北欧のPISA型教育に注目し出した頃から、その兆しはあった。ただし、当初は「だったらもっと学習時間を増やして…」というような文科省の考えだった。
▼だが、少子化の中で学習塾でも個別対応が主流となり、過去問型からイノベーション重視に教育の重心が変わり、アクティブラーニングが提唱されるに及んで、掛け声が先行した割には現場は一向に変われないという学校教育の実情はあったが、中学入試においていよいよより適格に個人の学力をはかる入試に変わることになるのかも知れない。
▼2018年度の小中学校の不登校の子どもたちはとうとう全国で16万人超となったように、一方では「学校離れ」の増加が止まらない。そして、そのように学校を離れる子どもたちの多くは−−−不登校には、学業の落ちこぼれもあればはみ出す個性の子もいる−−−学校では生かされない個性の子どもたちであった。不登校は学校教育のカナリヤ、そこに日本の教育の問題点は既に露呈していた。
▼今までも、「中学受験に対応できない学校教育」の問題はあったが、この公立中高一貫校や私立校の入試の変容は、より強く学校教育の変容を促すものになろう。その意味では、実際に授業で子どもたちの学びを担当する教員一人ひとりの力量と変容がより一層問われるものとなるだろう。