日別アーカイブ: 2020年1月9日

不登校支援の理想と実際と

▼「不登校支援」に関わっている教育団体は全国にいろいろある。ネットでそれなりの知名度を上げるに至っている組織も一つや二つではない。 私たちが最初ほとんど徒手空拳の思いで不登校支援に乗り出したのは今からおよそ30年も前のことになる。不登校の数はもう7~8万人を超える人数に膨れ上がっていたのに、その頃の教育行政はまだ殆ど手付かずの状態であり、大学での研究もまだ始まったばかりであった。だから、不登校の実態をつぶさに知っているのは直に現場で子どもたちと関わっていた我々やその子の親御さんたちであった。大学の研究にデータを貸し出すなど研究の側面援助を行い、その後の研究者として育てていったのはある程度は我々の協力にもよるものだ。

▼だから、その後、我々の活動を見ながら、不登校の子たちを支援するという関わりよりは、そこに新たなビジネスチャンスを見出して参入する人たちが現れた時には、そこにどこか目的が違うのではないかというある種の違和感を感じはしたものの、子どもたちのやむにやまれぬ行動としての不登校が少しでも社会的認知を広げることになるのであればと、そこにはある種の容認と同時に歓迎の気持ちもないではなかった。 しかし、その後の展開は、必ずしも先発組の我々にとっては望ましいものとばかりは言えないものであった。そこには不登校支援と言うよりは新たな教育ビジネスとしての側面が露骨なまでに露になって来たからである。その一つに、あたかも自分たちが正真正銘の専門的な不登校支援組織であるという面を前面に出してきた時である。

▼その一つに「学校復帰」の働きかけがある。

校則のない公立中学校

「校則のない中学校」として世田谷区立桜ヶ丘中学校が話題だ。この中学には中学生に規律を体得させる当たり前の校則がないことで、逆に様々な事件もまた起きないのだと。

フリースクールで不登校の子どもたちと接して来た自分には至極当たり前のことだが、管理を旨とする学校では意外な光景らしい。
子どもを信用せず、独立した存在=魂として遇せずに管理することで、逆に不信と不信の蓄積する場が学校となることを教師も保護者も知らない。
今後おいおいそういう子どもたちの姿を紹介することで、子どもの育ちや学びの問題を考えて行きたい。
いや、できたら今後日本の教育が進むべき方向性をも提示して行きたいと思う。
※(蛇足)
この紹介記事でもチラと触れていたが、不登校問題だけでなく、「子どもの学びや育ちの問題は、だいたい15歳まで、つまり義務教育の修了する中学時代までが勝負だ」と思っている。不登校は高校や大学までも続くこともあるが、そこまで行けば矯正はかなり難しくなる。もう幹が固まってきているのだ。

皆さんのご意見や質問を頂ければ有難く思う。

「校則のない中学校」