子どもたちを福島にボランティアに連れて行くということ
▼福島第一原発事故から5年の歳月が流れて
福島第一原発事故から既に5年の歳月が流れた。その引き金ともなった東日本大震災による未曾有のに被害については誰一人同情せぬものはないし支援に駆けつけた人も多い。しかし、東電の福島第一の原発事故については二の足を踏む人が多い。チェルノブイリ原発事故級(それを上回るとも)と言われる原発事故による放射能被害を心配するからである。
▼放射能被害に対する様々な受け止め方
原発事故から5年、その事実は変わらないがその受け止め方は様々だ。この間の子どもたちの甲状腺ガンの発症率の上昇も無視できない。家族ともども住み慣れた地域を離れた人達も多い。一方では未だに仮設住宅住まいの人達もいる。再び元の状態に戻ることは不可能かもしれないとも囁かれる。全く想定外(?)の原発事故によって、生活、文化、社会の全てが一瞬にして崩れ去ったかのようである。
▼ほとんどは「風評被害」で安心安全という考え方
だが、一方でそれらはほとんど「風評被害」であり、今回の事故はそんなに恐れる必要はないのだという意見も根強い。全てではないが政府が「安心・安全」と言っているではないかという声もある。そこには産業があり、生活があるのだ。いたずらに警戒心を煽る人達が絶えないが、農業も漁業も、危険なものを取り除けば大丈夫なのだと。多くの地域では積極的に除染が行われ、現に地域の子どもたちは毎日元気に学校に通って勉強しているではないかと。県外の人達からも「食べて応援」でたくさんの支援の声もある。何を怖がるのかと。
▼福島の地に子どもたちをボランティアにやること
さて、そういう中、福島の子どもたちを励ますために、子どもたちを他県に迎え入れる活動もある。福島に出向いて行う文化的な慰問の活動もある。逆に、大人だけでなく子どもたちにも、春や夏の休暇を利用してボランティアの活動を行うところもある。小中学校では修学旅行先に福島県を選ぶ学校さえある。確かに、地域の繋がりが希薄になり、支援を求めるたくさんの人達がいる以上、そこに出向いて無償の善意を施すことは、行う方にも受ける方にも意義のある活動に違いない。
▼子どもたちを福島に連れて行く支援団体の思い
ともすると我利我利の自己中にハマりやすい今の学校教育において、それは一つの大事な視点かも知れない。特に、学校を放れた不登校の子どもたちのために、コミュニケーション能力の向上のために役立てよう、と考えるところが出てきてもおかしくはない。事実、毎年のようにそういうフリースクール等の子どもの支援団体などが、小旅行を兼ねて数日現地に趣き、ボランティア活動を行うところが多くなった昨今である。
きっとそういう団体は主催者がそのような活動に前向きの気持ちがあり、そこに子どもを預けている親御さんたちもそれに賛同する方たちなのだろうと推察している。
▼子どもたちを未知の危険のある福島にはやらない
しかし、自分もフリースクールを主催しているが、そういう活動には自分自身でも躊躇するし、お預かりしているお子さんや親御さんにもそれを強要することはできないと思っている。「政府が安全と言っているのだから…」とか「福島の子どもたちもそこで生活している。数日のことなのだから…」という考えで不登校の子どもたちの福島でのボランティア体験に前向きな人達もいるだろう。それでも、「自分たちのフリースクールは福島にボランティアに行くことを想定していない」と言うつもりだし、それを聞いて安心できる人達に来てほしいと思っている。
▼ボランティアの大事さと放射能の特殊性
「本はどこにでも開いている」し、ボランティア活動は大事だと思うが、何も敢えて危険な福島を舞台に選ばなくてもいいと思っている。自分たちは、子どもたちと関われる短い期間のうちに子どもたちに自信を取り戻し立ち直ってもらいたいと思っているが、放射能の影響に関しては未知の部分が多く、なるべくならば被害を最小限に留める形で子どもたちを応援したい。自分たちの手を放れた後のことについては、残念ながら「放射能に関してだけは」責任が持てないのである。
▼未知のことだからこそ命の危険を恐れる
それが本当に風評被害であれば、誰も仕事や生活を投げ出してまでも福島から逃れまい。「原発さえなければ!」と死ぬ人もなかっただろう。未知だからと根拠もなく恐れるのは愚かである。だが、未知だからと根拠もなく安全と過信するのもまた愚かである。人の命は代わることができない。自分の命を人任せにすることもできない。それは本当に風評被害なのか、確かなデータに基づく確信なのか、自分の納得の行く形で見極めたい。
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